三日月の絆その5

満月

満月

ぼくたちは、ふたりでくさっぱらにすわりこんでいる。

もう、どのくらいこうしているんだろう。

ずっとだまって、おつきさまをみているだけなんだ。

「お前は、どのような人間になるのだろうな?」

ぼくはびっくりしておぼうさんをみる。

どうしてぼくがびっくりしたかというと、いつもはおぼうさんはぼくから『しつもん』しないと、はなさないから。

「おぼうさんは、ぼくにどうなってほしいの?」

どこか、いつものおぼうさんとちがう。いつものおぼうさんはこんなふうにしゃべったりはしない。だから、ぼくはそんなことをいってしまったんだとおもう。

こんなかんじでいうと、おぼうさんは『それはこぞう、おまえじしんがきめることだ』って、ちょっとおこったふうにいうから。

ぼくは、あわててくちをりょうてでふさいだんだ。

でも、

「自分という存在と、他者という存在を、同等に、大切に思えるような心根優しき人間に」

おぼうさんは、おつきさまをみながらちいさなこえでそういった。

「あの無数の星々の如く、その力を最後まで燃やし尽せるような、芯の通った人間に」

おぼうさんのくちは、もうひとつのことばをいった。

「満月でなくとも良い。不完全な三日月であろうと、補い合う事で、互いにその輝きを高め合える様な人間に」