三日月の絆その5

カラカラ

カラカラ

崩落した床ごと二人が一階に落ちた事で、塵が周囲に飛び交っている。立ち込める塵が晴れると、そこには一つの光景があった。

昇が玲於奈に馬乗りになる形で覆い被さり、赤い左手は玲於奈の左胸の脇、床にめり込み、銀の大鎌は昇の首筋にピタリとつけられている、という時間が止まったような光景が。

体はすでに紫紺の瞳に捕らわれ、昇の体の大半に自由はない。何か行動を起こそうとした瞬間には、首と胴が別々の部位として切り離されているだろう。

覚悟を決め、昇は眼を閉じる。

「……出来るだけ、痛くないようにやってくれ」

「死を、怖くはない、と貴方は言うの?」

声音が冷たく昇に突き付けられる。

怖くは、ない。そう言おうとした口からは自分の意思に反して、カチカチという音が聞こえてきた。

「怖いさ……痛い、だろうし、な」

脂汗が額を流れていくのがわかる。氷柱を背骨の代わりに突き立てればこんな悪寒を経験出来るのだろう。

静寂の中、心臓の鼓動だけがやけにうるさい。今にも張り裂けそうな程に。このまま、脈が止まってくれたらどれだけ楽か。喉が干上がったようにカラカラになり、皮膚が粟立っている。