三日月の絆その5

朱雀

朱雀

両肩を爪が食い込む程強く握り、玲於奈ですらも言葉を失う凄まじい形相で問い掛ける。

「え、ええ……あの時よりも数倍魔力が強くなっているけど、魔力の質が酷似しているわ」

放心したように昇の手が玲於奈から離れる。

(う、嘘だろ?)

魔力の質を見分ける事が、昇には出来ない。それでも、この結界が播磨一族の特有のものだという事は結界の方程式からわかる。

(他の播磨の者は、奴から身を隠すために全国に散りました……ですが、それも無駄でしょう。相手は叔父様を殺す程の者。その気にさえなれば、私達を探し当てるのは簡単な事でしょうから)

彼女の言を信じるなら、この地にいる播磨の者はたった一人。

義妹の、播磨瑞樹!

「馬鹿言わんでくれ! そもそも計算が合わん!」

昇の狼狽振りに玲於奈が眼を細める。

『奴』が玲於奈の祖母と戦ったのは三十年も前。瑞樹が生まれる前なのだ。呪いをかけた時期にしても、瑞樹はまだ七歳。一通りの方程式が教えられた程度の力量だ。

だが現実を嘲笑うかのように。

夜の通路を照らす赤き緋が周囲から一点に集められ、末端からある動物の形を形成していく。雪の様に炎を舞い散らせながら、人ほどの大きさもある深紅の鳥が。

「……朱雀……」