太陽の使者
「なっ!」
解けない!
『刻印』は力を失ったように輝きを終息させる。それに伴い、昇の左手が炎に灼き尽される。すぐさま昇の異常を悟り、玲於奈が駆け寄ろうとするが、朱雀が行く手を遮る。
魔術方程式が組み込まれたダガーを取り出し、切り付ける事で炎の方程式を相殺しようと試みるが、左手に燃え移った炎は勢いを増し、胴に広がる。
炎の侵食が胴体を伝って全身に移ろうとした時だった。
「我がもとに来たれ太陽の使者よ。不死の炎、永劫なる力をその翼に宿し、虚ろなる闇を切り払えっ!」
明朗な声によって命じられた従者は、昇の肉体に燃え盛る炎とは別種の炎を生み出し、その方程式を相殺させた。
昇はアスファルトに倒れ込みながらも、こちらに駆け寄って来る、おそらくは自分を救った人物を見上げる。彼女は闇夜の中、深紅の炎で象られた、人程の大きさの鳥を従えていた。