塔也
爛々と燃え盛る校舎の屋上に、一人の人物が佇んでいる事に昇は気付いた。
(……なんだってまた、その線を考えなかったのか)
火傷によるダメージと、炎に挿入されていた魔力の侵食により、昇の意識が落ちかける。
塔也を殺せるほどの魔術師は、そうはいない。故に呪術を用いたのではと考えたが、あの時はあまりにも情報が少なすぎた。
しかし、今、全ての断片が一つのピースを象った。
現在『奴』は、五百年を生きた吸血鬼に呪いを掛けられる程の力を持ち、三十年前の時点でも、相当な力を有していた。
『奴』は塔也を殺害した者と同一人物と思われる。
そしてたった今、播磨家の者しか扱えぬ結界を用いている。
だがこの三つの情報の中で、一つだけ不確定要素を含む情報があった。
瑞樹以外にも、現在この地にいるかもしれない播磨の魔術師。
三つの項目に当てはまるかもしれない者が、一人だけ、いる。
そう、彼は。
あの最強の魔術師は、行方不明となっているだけで……
実際に死んだとは……確認されていない!
「……塔也の……クソジジイめ……!」
呪詛の一言を最後に、昇の意識は闇に落ちていった。