錬金転換
ローブに仕掛けがあるのか? 謎を解こうと昇は玲於奈の全身を観察する。
右手に持った大鎌。
小柄な体にまとう純白のローブ。
あとは何かないのか? この謎を解かない限り勝機は……
「……!」
何だ?!
玲於奈の青い瞳が、紫紺に染まっている。彼女の自分を見つめる瞳が鎖で体を縛るかのように、自身の動きを封じている。
これではまるで玲於奈に魅入られているかの……
まさかっ!
「ええ、そうよ」
昇の顔色を見て彼の考えを悟ったのか、唐突に告げる。
「『錬金転換』は知っていて?」
伝承にはいくつか残っている。人語を介する鬼や天狗等の、常軌を逸した人外の存在。だがそれらは最初から人外だった訳ではない。魔術の叡智を振り絞った当時の人々の、なれの果て。もしくは目的を達して想像を絶する能力を手に入れた者達。
西洋にもそういった存在がいくつかある。中でも人型を象り、驚異的な回復力と優れた美貌を持ち、他者を束縛する瞳とくれば……
「……私は、錬金術師の家系。その術を用いて、自らの身を『吸血鬼』に変じた一族。私は、その末裔よ」
コツン、と静かに一歩が踏み出される。紫紺の瞳に睨まれた昇の体は小刻みに指を動かすのがやっと。
「『概念の具現』程、伝説的な存在ではないけど……魔眼の一種たる『魅惑の瞳』に捕えられて、意思があるというのは敬意を払うに値するわ」